ホームシック

ジョニーだ!
今ラストは酔っぱらってお喋りになってる。
ラストは、物事を深く見つめる男だ。
オレはまあ、ラストほどではない。
ラストは、酔っぱらうと遠慮なく難しい事を話しはじめる。
でも、ジッとして話を聞くのはなかなか大変だな。
あっ、ちょっと真剣な感じになってきたな。
人が話しているときは、少しは落ち着けって怒られたりするから、ちょっとちゃんとしてくる。


「いいか。ジョニー。
俺たちは皆んな、今を当たり前のように生きている様に見えるが、実際はそうじゃない。
生まれた時代。何もかもが新鮮だったあの頃に、誰もが皆、ホームシックを患ってしまっている。
代わり映えのない日々をかき消す為に、過去や、まだ訪れてもいない輝かしい未来の話しをして今を誤魔化し生きている」

「ナルホド、ナルホド」

「繰り返すな。
わかるか?人のリアルは今しか存在しないってのに、今に立っている人間はわずかしかいやしない」

「そうかー、おれもそうなのかもしれないな」

「…いや、ジョニー、おまえは今しか無いように見えるよ。それはたまに俺の眼にうらやましく映る」

「そうか?褒められたなおれ」

「うん。。今日も楽しげな夢見てるな。あれだぞ、バランスってのはきっと大事だ。
・・・なんか俺は愚痴ってるみたいだな。嫌な事でもあったっけ?」

「いやっ!わかるぞ!!ラスト!人間は難しい生き物なんだ。世知辛い世の中だ。まったく大変なことばかりだ。
なぁ、そうだろ!ラスト!
なんならオレをお手本にしてもいいぞ!」

「…。」

「歌でも歌うか!なっラスト!ラララ、ラス…そうだ!ステキな事に気付いたぞ!聞かせてあげよう」

「…いい?」

「どうぞ」

「ピザだ!ピザが食べたいな!それもハラペニーニョだ!
ハラハラ、ハラ!ペニ〜〜ニョッニョッニョッ♪
しゅわしゅわ、シュワっと踊るよコークちゃん♪」

「…。」

「飯テロにやられたジョニーちゃん♪」

「いつだよ」

「ん?何?」

「いや何も言ってない」

「そうか!ポーーーッ!!!(マイケルポーズ)」

「誰だよ!!」

「マイケルだ!知らないか?マイケル!」

「知ってるわ!答えるな!
…聞かれたから答えたのになんで怒られたんだ?なんてびっくりした顔してんな!
だいたい今の話からどうやってピザに流れ着いたよ?
お前絶対上の空だったろ!学校の授業かよ。
あとな、ハラペニーニョじゃなくてハラペーニョだ!二はいらん!」

「おしいっ!ほとんど正解♪とか言ってんな!どんだけ自分ラブだよ?
もういいから、さっさと電話してこい」

「あはは!イライラするなよ!まったく!ラスト!音楽でも聴きなよ!
ポーーーッ!!!ピッ」

 

Joker

 

過去を消したいって?
おれはごめんだね
黒はいつだってジョーカーだろ?

赤はクィーン
キングは青
いや 青はナイトか?

今を生きてるかどうかさえ危ういんだ
ラッキーカラーはレッド
お気に入りはブルー
白黒ネコは月で遊ぶ

未来を知りたいって?
おれはごめんだね
黒はいつだってジョーカーだろ?

赤はクィーン
キングは青
いや 青はナイトか?

今を生きてるかどうかさえ危ういんだ
ラッキーカラーはレッド
お気に入りはブルー
白黒ネコは月で遊ぶ

欲望が足りないかもね
キラービー笑う
黒はいつだってジョーカーだろ?

今を生きてるかどうかさえ危ういんだ
ラッキーカラーはレッド
お気に入りはブルー
白黒ネコは青を見据える

今を生きてるかどうかさえ危ういんだ
ラッキーカラーはレッド
お気に入りはブルー
白黒ネコは月で遊ぶ


「なあラスト…。さっきこれ聴いてた?」

「…そんなあらたまって聞くなよ。なんか感じ悪いだろ?」

「?…?」

「だからな…(なんか恥と嫌味を塗り重ねてしまいそうだな)
ピザは…電話した?」

「お任せください!バッチリです!(オッケーポーズ)」

「うん。そう…」

「三辛です!(指を3本こっちに突き出す)」

「うん。…あれだ、ダンも呼ぼうぜ」

「(オッケーポーズ)ポーー〜!!(マイケルポーズでキメ)」