まぼろし

空を渡る魚は特別な存在なのだろうか
ぷかぷかと彷徨う板の上で
手足を水の中へ泳がせ陸を歩く
あの娘の仕草を真似る

息を切るあいつの肺は命をつかもうと
激しく膨らみ苦を味わう
テーブルの上で求めるふたりの手
シルバーの青に熱が浮かぶ

あぁ
アリスの世界へ転がる
眠りの中かな
イデアの中かな
モノクロームの世界に
色が染みてゆく

あぁ
蜜の中に
海の中に
眠りの中へと

ブーツが缶を蹴り上げお月さま笑う
空気はどこまで音を運ぶ?
永遠ってものに救いをゆだねて
真空のフチに足をかける

あぁ
アリスの世界へ転がる
眠りの中かな
イデアの中かな
モノクロームの世界に
色が染みてゆく

あぁ
叫びたい
この胸に
うつつの海を泳ぎ続ける